† of Ogre~鬼の心理
「あれっ、なに、どうしたの内村」

「いや、どうしたのじゃありませんよ」

「もしかして……」

「なんです?」

「なにか忘れ物?」

「いやいや」

「家の電気止められてるの?」

「いやいやいや!」

「夢遊病?」

「いやいやいやいやっ!」

まるでお笑い芸人みたいに手をパタパタさせながら、内村がやって来る。隣のデスクの椅子に座り、キャスターをころころさせてこちらへ寄ってくる。

ぽん、と手渡されたビニール袋には、二本の缶コーヒーと二つのサンドウィッチが入っていた。

「なに、これ?」

「差し入れですよ、見ての通り」

「……」

「いやですね、まさかもういないだろうと思ったら、オフィスの明かりがついてるじゃないですか。で、アルさんまだいるんですもんねえ。だから差し入れですよ。ちゃっちゃか終わらせて帰りましょうよ。僕も手伝いますよ、調書まとめるの」

「内村……」

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