† of Ogre~鬼の心理
第四十三節
† 第四十三節
アルの電話を切ってから、俺はふと、外へ出た。
中心街の周囲に形成されているドーナツ、住宅街、その東区。
アルが知っているかどうか定かではないが、東区は最も地価が高い。お嬢さまの真輝の実家も、東区にある。
雑然であり氾濫としている西区の正反対とあって、さすがにこの辺りは静かだ。
すでに時計の針は、新しい今日を刻み始めている。
そんな時刻、この『閑静な住宅街』を出歩く人間なんて、いやしない。
そんな静寂の空、水分を多量に帯びた夏前の夜気と寝る前に少し戯れてやろうか、そんな気まぐれで外へ出たのだ。
そしたら、出逢った。
「こんばんは」
こんな時間に、こんなところで。
警察やらに見つかったら補導されるだろう学ラン姿で。
へらへらと突っ立っていやがった。
継続処理のためにタバコへ火をつけようとしていた俺は、ライターの火打に指をかけていた。が、手ごとそれを下ろした。
数メートルの前庭を通り、胸の高さまである鉄扉に腕を置く。
アルの電話を切ってから、俺はふと、外へ出た。
中心街の周囲に形成されているドーナツ、住宅街、その東区。
アルが知っているかどうか定かではないが、東区は最も地価が高い。お嬢さまの真輝の実家も、東区にある。
雑然であり氾濫としている西区の正反対とあって、さすがにこの辺りは静かだ。
すでに時計の針は、新しい今日を刻み始めている。
そんな時刻、この『閑静な住宅街』を出歩く人間なんて、いやしない。
そんな静寂の空、水分を多量に帯びた夏前の夜気と寝る前に少し戯れてやろうか、そんな気まぐれで外へ出たのだ。
そしたら、出逢った。
「こんばんは」
こんな時間に、こんなところで。
警察やらに見つかったら補導されるだろう学ラン姿で。
へらへらと突っ立っていやがった。
継続処理のためにタバコへ火をつけようとしていた俺は、ライターの火打に指をかけていた。が、手ごとそれを下ろした。
数メートルの前庭を通り、胸の高さまである鉄扉に腕を置く。