† of Ogre~鬼の心理
あの質問を当ててきた時もそうだったが、肝の据わったガキだ。家の人間がすぐ真横にいて、それだけ堂々としているのだから。

なおのこと、そんなところがいけ好かない。

「で、なにかウチに用か? お嬢さまならとうに夢の中だぞ」

「知ってますよ」

「じゃあなぜ来た」


「東城さんの家の人に逢いに」

「ほぉ……」

用件もそうだが、そもそも深夜も過ぎて他人の家を訪ねようなどと……よく思ったものだ。

「ちゃんと考えてきたんですよ、これでも」

と、少年は訊いてもいないのに言った。

「僕が家に行ったら、東城さん以外の誰かが出迎えてくれる。そう、運命づけてみましたから」

「……ほおう」

さっきから、「ほお、ほお」とうわ言のように繰り返してばかりだな、俺は。

少年の発言は、そんなに驚くようなことでも、感心するようなことでもあるまいし。俺は梟か。

――いや、疲れているのか。そういえば、真輝もファミレスでは「そうね」ばかり言っていた。あの高飛車なお嬢さまが、言うこと言うことに「そうね」ばかり。

ほかの対応が面倒なように、だ。

ああ、なるほど、わかった。

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