† of Ogre~鬼の心理
私はその中間ラインにいるためか、どちらともつかない生活を送っている。



ふと、絶対不可侵のはずである私の孤立無縁領域が、だれかに踏み抜かれた。

防衛線を突破され、意識の一端を弾かれる。

顔をあげると、冴えない男が立っていた。

孤立無縁領域と小難しく言いはするものの、それは単に、だれも私に近寄るなと意識的に発しているだけで、特別壁があるわけではない。

が、それでもなんの躊躇もなく毎度毎度踏み込んでくる彼には、実に気が置ける。

いい迷惑だ。

「おはよう、東城さん」

「……おはよう、フジオカ」

「今日もなんか不機嫌そうだね?」

「ええ、おかげさまで」

不機嫌なのは、お前が私のテリトリーに不条理な侵入を図ったからだ――とは言わない。

ただ眼力で、出ていけと訴える。
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