† of Ogre~鬼の心理
まったくもって私情でしかないが、俺の部屋もそろそろ片付けなければならない。

今日一日の家事を担う代償に、仕事上手なアルに部屋を片付けてもらうことにしよう。

そうしよう。うん。

皿洗いを終え、さて次はなんだったかと、アルがやっていることを思い出していたら、窓辺にアルの気配を感じた。

――のは小さな錯覚で、実際は、蝙蝠がじっとこちらを見つめていた。

「なんだ、お使いか? それとも本体か?」

窓を開けてやると、蝙蝠はパタパタと部屋の中へ入り、アルの育てているハンガータイプの観葉植物のケースに、ぶらりと逆さまに止まった。

頭のわりに大きな耳と、実は豚のような鼻をしている顔は、正面からまじまじ観察すると、殺伐とした愛らしさがある。

その口が無理やりに、人間の言葉をつむぐ。
< 47 / 414 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop