† of Ogre~鬼の心理
(うん。つまらない、つまらない)
窓枠に頬杖を突きながら、なんとはなしに思う視界に、
「!? なっ、なっ、なっ!?」
いきなり、ありえないものを、見た。
思わず後ろへ滑っていく景色を追い、『それ』がいた横断歩道を見やるが、もういない。
「なに、どうしたんですか、アルさん?」
一瞬だからこそ大きな混乱となったせいで、内村が訊ねてくる。
が、それはこの僕でさえ信じがたいことだった。
ゆっくり前へ向き直り、息を整えても、答えられない。
驚きを隠せなかったのは僕の痛恨のミスだが、
「い、いや、なんでもないよ。なんでもない……」
「……そうですか?」
あからさまにバレている嘘をつくしかなかった。
だってそうだろう。
今通り過ぎた交差点に、死んだ人間を見たと言って、だれが信じる?
幽霊? そんなバカな話があるか。
僕が見たのは、肉体は無論、霊魂さえも消えたはずの、彼なのだから。
窓枠に頬杖を突きながら、なんとはなしに思う視界に、
「!? なっ、なっ、なっ!?」
いきなり、ありえないものを、見た。
思わず後ろへ滑っていく景色を追い、『それ』がいた横断歩道を見やるが、もういない。
「なに、どうしたんですか、アルさん?」
一瞬だからこそ大きな混乱となったせいで、内村が訊ねてくる。
が、それはこの僕でさえ信じがたいことだった。
ゆっくり前へ向き直り、息を整えても、答えられない。
驚きを隠せなかったのは僕の痛恨のミスだが、
「い、いや、なんでもないよ。なんでもない……」
「……そうですか?」
あからさまにバレている嘘をつくしかなかった。
だってそうだろう。
今通り過ぎた交差点に、死んだ人間を見たと言って、だれが信じる?
幽霊? そんなバカな話があるか。
僕が見たのは、肉体は無論、霊魂さえも消えたはずの、彼なのだから。