† of Ogre~鬼の心理
しかし、だからといってヒトガタをこねあげるのも、並みの労力じゃない。

契約を追加しないといけないことまで考えると……それこそ一大事だ。

それならいっそ、いや結局、やはり自分の足で行ったほうがいいわけだ。

エプロンを外し、無駄な黙考に時間を費やしたことを、溜め息で浚い流す。

めんどくさがり屋だと自分でも認識しているが……細かなところでめんどくさい右往左往をしている俺は、なんとまあ不器用なヤツだろうか。



さすがに今の格好で外出するのは憚られるので――……うむ、アルの服を借りることにした。

俺の服は部屋にあるが、生憎と今、『その部屋』には入れない。入れないから、アルに片付けてもらおうと思ったのだ。

「邪魔するぞー」

ノックもなしに書斎兼アルのアルの私室を開けると、埃くささが目に染みた。

無礼な来訪者を一応は歓迎してくれているらしい。闇の中に、閉められたままのカーテンの隙間から差し込んだ光で、もうもうと白い靄が漂って見える。
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