† of Ogre~鬼の心理

第十節

† 第十節



アルの作る弁当は実に美味なのだが、あまりの美味さにこちらも『促進』されるため、失敗を犯す前にコンビニのおにぎりに切り替えた。

去年の春のことだから、コンビニおにぎりとの付き合いはもう一年ほどになる。

ビニールを破り、ノリを上手く巻き付けるところに多少のコツを要される以外は、まあ、なかなかにいける。

「今日も梅とおかか?」

休み時間休み時間に足を運んでくる風間は、昼休み、昼食も私の隣でという変人だ。

いまさら思ったのだが、『変人』という単語は実に風間には似合っている気がした。

「悪い?」

訊き返すと、風間は小さく笑いながら、いや別に、とだけ答えた。

私が梅とおかかしか食べないと、風間は知っているのだ。

よほど観察されているからなのだろうが……そこまで見ているのなら、いちいち訊くなとも思う。
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