† of Ogre~鬼の心理
「……――る?」

「は?」

唐突に質問され、私はわけがわからなかった。

聞いてなかったんだね、と仕方なさそうに笑みを浮かべる風間が、もう一度とばかりに言った。

「近くの公園で殺人事件があったっていうの、知ってる?」

「……ええ」

と、間を置いて私は頷いた。

知っているもなにも……それは私の所業じゃないか。

久しぶりに美味い女に巡り会えて上機嫌になり、事後処理を忘れた、私の食い残し。

ああ、せめてもう少し、女の遺体が発見されにくいところで食事をすべきだったかと後悔する――ことも、もうない。

過ぎたことは、仕方がないのだ。

過去を変えることはできない。たとえ、どれだけの血や契約、力をもってしても。

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