† of Ogre~鬼の心理

第十三節

† 第十三節



この町は、言ってしまえばドーナツのようなものだ。

中心の穴が繁華街、周囲の輪がベッドタウンだ。

俺達の――厳密にはアル所有の――家は、このリングの東地区にある。

首都のほうでは、住人の中心街へ帰宅傾向が進んでいるのに、この辺りではようやくのようやく、ベッドタウンが必要なほど密集した繁華街ができたというわけだ。

ドーナツの中央……中心街と地元では呼ばれる歩行者天国を歩きながら、わずかに気を張っては、緩める。緩めては、張る。

アルが言っていた厄介者がいるのは中心街。

俺がいるのも中心街。

同じ感覚の力は、気配と気配でぶつかり合い、斑紋を生む。

その自然と起こってしまう波を感じながら買い出しをするのは、なんと気疲れさせられるものか。
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