† of Ogre~鬼の心理
きびすを返し、スーパーのある方向へ戻ろうとした――手前。

「? ――はは~ん」

なんとも清々しい殺気と欲望が残留しているのを、見つけた。

それは、通りから入る、小道。

わざわざ現場の土を踏みに行かなくとも、見ればわかる。

そこが、真輝の狩りの発端になった場所なのだと。

(まったくもって、お行儀が悪い)

思いながら、さっさとスーパーへ行こうとした俺に、

「っ!? ――な!」

大砲で撃ち出されたような気配の塊が、ぶつけられた。

もう一度振り返ったそこに、さっきまでいなかった――否、さっきまで気配と姿を完璧に隠蔽していたヤツが、いた。

どこか幽鬼を思わせる、白い肌。

色素の薄い長い髪。

そして丈長の黒いワンピースが、その儚げな姿を強く塗り潰していた。

手ぶらにもかかわらず、斧鉞でも携帯しているかのような剣呑な気配が、その少女から漏出している。

凄まじい、圧迫感だった。
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