† of Ogre~鬼の心理
(逃げ切ることが先決だ!)

思い、次の建物へ飛び移る間際に、両靴にマジックを走らせる。

ヤツがこちらの着地点を見極めて、なにかを撃った。

それを見計らい、俺は空を蹴る。

靴に付与した式の効力で、俺の体はさらに跳躍した。

空を蹴るくらい、やれなくてどうする。

「っ!?」

が、俺がマジックペン一本でここまですると思っていなかったのか、俺が着地するはずだった建物にいったん足をつけたヤツは驚いているようだった。

そんな隙を見せてくれるなら、逃しはしない。

「ケンカを売るなら――」

踏み場のない空中を踏みしめ、俺は立った。

「正々堂々とやれ!」

そして再び、宙にマジックを走らせる。

さっきとはまた違う意味を持つ文字は、ひとりでにきゅっと小さな玉になり、ヤツへ飛び出していく。

が、

ヤツもなかなかに、切れる。
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