† of Ogre~鬼の心理
俺の弾丸をすべて、タクトを振る指揮者のような優雅さで、手際よく撃ち落としている。

正々堂々とは言ったが、どうやら今の俺では、真っ正面から戦ったところで敵わない。

まったくもってこれだから、西より東に特徴される先天的な術者は嫌いなのだ。

こちらの常識を簡単に打ち破ってくる。卑怯だ。

空中を蹴りつけ、さらに一足、ヤツと距離を取る。

すると黒いブーツでコンクリを蹴り、ヤツも追随してくる。

追撃者なのだから当然だろうが、こちらを逃がしてくれる予定はやはりやはり、ないらしい。

(さて、どうする草薙仁……? どうする?)

文字の弾丸をさらに数発撃って牽制するが、なかば無意味だ。

先ほどと同じように、放たれる『なにか』によってまんまと相殺させられる。

ふとその時、俺の感知する範疇に、別の気配があった。

(これは、――真輝か)

俺の波と当たって存在を知らしめてくるのは、俺が真輝に渡した護符だ。

その護符の気配は作り手である俺だからこそわかるのだが――

真輝め、なにもこんなタイミングに……!
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