† of Ogre~鬼の心理
戦う必要性がわずかに顔を覗かせてきていることに、思わず歯噛みする。

アルの眷属、そして俺へ敵対心を見せるヤツに、まさか真輝の顔まで覚えさせてなるものか。

俺と違い、都度都度コンクリに足をつけなければならないヤツは、着地したそこで、両腕をクロスさせた。

「待ちなさい!」

「っ、しつこい!」

ふたつの手刀が腕ごと振り抜かれ、ヤツのなにかが飛んでくる。

(でかい!)

その大きさ、強さたるや、マジックペン一本じゃ相殺させることまでは無理だ。

空中の一点、同じ文字を書き付け、せめてもの密度と濃度をあげる。

ドゥン、と俺の眼前で、力と力が透明なまま爆ぜた。

若干緩和することしかならず、衝撃波だけが同心円状に広がる。

「ぅぐ!」

俺は、その衝撃に軽く吹き飛ばされた。


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