† of Ogre~鬼の心理
「――あ」

それはまた唐突に。

「今日、やっぱいいや」

風間は、そんなことを言った。

「どういうこと?」

「うん。だから、今日は僕の用事、いいや」

『今日は』というその単語が、気に入らない。

「なぜ? もうすぐなんでしょう? 今日済ませちゃいなさい」

すると、

「うーん、それは無理だよ」

風間はまったくどうしようもなさそうに、肩をすくめた。

「今日はもう、用事のある場所には行かない。そう運命づけられてるからね」

「……」

また、運命か。

「あ、荷物はちゃんと家まで運ぶよ」

そして彼の足が止まり、

「家、どっち方面?」

「……東区」

「よし。じゃあ早速行こう」

今まで向かっていたどこかとは違う場所へ、踏み出される。

最大の暗示にして最強の術の前に、私はなすすべもなく、彼に続くしかない。

風間純は、フジオカに似ているが、嫌いだ。

それから、風間純の言う運命は、大嫌いだ。
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