ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「まぁ、お相子ってとこか」
絡めている私の腕をはずすと、肩を抱いた。
「ねぇ、もしかして俺のこと好きだったりする?」
もしかしなくても……
「好きだよ。何か問題でもある?」
はぁ~、言ってしまった。
どれだけ本気だと思ってもらえてるか、分からないけど……。
でも苦しかった気持ちが、少し楽になったかな。
契約期間、一ヶ月までの残りの日々を素直な自分で接していられる。
それだけでも、良しとしないとね。
「そっか……。梓、明日デートしようか?」
「デート?」
「そう。恋人らしく手を繋いでさっ」
恋人らしく……って言うのが、ちょっと引っかかるけど……。
寒くなってきたし、冬の一大イベントのために飾られた煌びやかな街を二人で歩くのもいいかもしれない。
まさに、恋人たちのための季節だ。
「うん、いいね」
「よしっ! そうと決まれば、早く寝ないとな」
寝る?
そ、そうかっ!! 忘れてた……。
キョロキョロと周りを見渡してみても、見えるところにはどこにも布団が用意されてない。ベッドルームの隣の部屋に準備してあるとか? それとも奥の部屋?
あっちを覗いたり、こっちを覗いたりしていると、肩をポンポンとされた。
ビクッと驚き振り向くと、満面の笑みを湛えた遼さん発見!
「さ、寝るよ」
手を掴まれ、有無を言わさず連れて行かれた先は……。
「ですよね……」
遼さんの大きなベッド。
余裕で二人、寝れるよね……あはは、はぁ~。
されるがままに寝転ばせられると、後ろから羽交い締めのように抱きしめられた。
「おやすみ」
おやすみって……。私は寝れそうにない。
しかし、背中から遼さんの体温が伝わり小さな寝息が聞こえ出すと、それが合図のように私を眠りの世界へと誘った。