ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
私の右手を握ってる左手も、寝ている割には力強い。
寝ぼけてるの? 起きてるの?
遼さんの左手が無くなったことで身体の戒めが解かれ、少し距離を取ろうとしたら、残っていた右手だけでさっきよりもグッと抱きしめられてしまった。
「なに勝手に離れようとしてるの? 罰として今日一日、ずっとこうしてようかなぁ」
ゆっくり目を開けて、妖艶な瞳を私に向ける。
その瞳に吸い込まれそう……いや、吸い込まれてしまいたい……。
自分からも身体を寄せ目を閉じると、唇を突き出した。
「そんな無防備なことして。止まらなくなっても知らないぞ」
握っていた手を離し、私の唇をなぞる。そしてチュッと音を立ててキスをすると、少しカサついていた私の唇に潤いを与えるように何度も唇を喰んだ。
背中にある遼さんの手がスーッと撫で上げると、身体中に電流が流れたように痺れる。
お互いにこの先を望んでる?
遼さんの首に自分の腕を絡めると、自然とキスが深くなった。
息を吸うためわずかに顔の角度を変えると、口腔に舌が侵入してくる。今日は自分から舌を絡ませていた。
私、どうしちゃったんだろう……。
自分じゃない自分に戸惑ってしまう。
でも、身体が溶けてしまいそうに気持ちいい。
「ん……」
堪えきることができなかった声が漏れると、唇の隙間からどちらのものか分からない唾液が滴り、それを遼さんがぺろりと舐めた。
「……甘いな」
そう言ってニヤリと笑みをこぼす顔に、奪われてしまっていた思考が戻ってくる。