ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

大慌てで遼さんの胸を押し身体を離すと、大声を上げた。

「遼さんっ、ストップッ!!」

「えぇ~、今更でしょ」

「ダメダメ、朝からこんな不健全なことしてたら。あっそうそう、今日はデートするんだよね?」

「不健全って……。しょうがないなぁ、楽しみは後にとっておくか」

そう言ったのに、またすぐに身体を抱かれてしまう。

「あ、あの……」

「んっ」

「んっ?」

「おはようのキス」

「…………」

「早くしてくれないと、さっきの続きするけど?」

それはまだ遠慮したい……。
遼さんに顔を寄せると、チュッ、とキスをする。

「お、おはよう」

「うん、梓、おはよう」

朝一番、布団の中で挨拶を交わす。
何だか本当の恋人になったようなフワフワした気分だ。
そして今日は、初めてのデート。
手を繋いで街をぶらぶら歩く……。
想像するだけで、テンションが上がってくる。

「さてと、準備して朝食食べたら出かけようか」

「うんっ!!」

子供っぽい返事をしてしまった。恥ずかしい……。
それにこれじゃあ、私がすごくデートを楽しみにしてたみたいじゃないっ(って実際、楽しみにしてたけど……)
赤くなった顔を布団をまくり上げて隠すと、遼さんに大笑いされてしまった。
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