ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
完璧にクリスマス一色に染まった街は、自然と気分をワクワクさせてくれる。
街中のいたるところにピンクや赤の花が飾られ、木々にはイルミネーションが施されていた。夜になれば、煌びやかな光を放って人々を魅了することだろう。
「夜の街もキレイなんだろうなぁ」
ふと、心の声を漏らしてしまう。
「ごめん。今日は夜までいられないから……」
遼さんが申し訳なさそうな顔をした。
「いやだっ、そんなつもりで言ったんじゃないからっ。気にしないで。遼さんと一緒なら、昼でも夜でも嬉しいし幸せ……って、あれ? 私ったら、何言ってるんだろう……」
街の雰囲気に惑わされて、とんでもないことを口走ってしまった。
一瞬で熱を持ち、赤くなった顔を見られるのが恥ずかしくて俯くと、遼さんの顔が近づいてくる気配。
「俺も梓と一緒なら、いつでも嬉しいし幸せだよ」
甘い言葉と一緒に、甘いキスを頬に落とす。
「りょ、りょ、りょーさんっ!!! ここ、路上だよっ!!」
これじゃあまるで少しの時間も我慢できなくて、いつでもどこでもチュッチュしている、若いカップルと変わりないじゃないっ!!
通り過ぎていく人が、みんな私たちを見て笑ってるような気がするよ……。
恥ずかしいやら腹ただしいやら、いろんな気持ちが混ぜ合わさって、目眩がしそうだ。
「梓、どうかした?」
ど、どうかしたっ!? あんなことされて、どうかするに決まってるでしょっ!!
遼さんって、もしかして天然? じゃないとしたら策士?
どちらにしても、困り者だ。