ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

たったそれだけの仕草で、胸がキュンとする。

やっぱり幸せ……

どうしよもなく嬉しさが込み上げてきて、顔のニヤニヤが止まらない。

「なんか良いことでもあった? すごく可愛い笑顔なんだけど」

「可愛くない」

こんないつものやり取りも、甘く感じてしまう。
今の私は、恋に溺れる重症患者だ。


オーナーにお礼を言い店を出ると、街の喧騒が耳に付く。

「また人が増えてるね」

こんないい天気の日は、街に人が溢れ出す。
どの人の顔を見ても、みんな楽しそうだ。

「クリスマス前だからなぁ」

遼さんがそう言い私の手を握ると、クルッと向かい合うように私の前に立った。

「店には飾ってあるけど、部屋用にクリスマスツリー買う?」

「それいいかもっ!」

「今年のクリスマスイブは土曜日。店は忙しいけど、梓が泊まっていけば店を閉めた後二人でイブを祝える」

トクンっと心臓が跳ねた。昨晩泊まったのとは、意味が違う。
恋人同士になった今、お互いを隔てるものは何もない。
遼さんの今の言葉に、身体の奥が甘く疼いた。



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