ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
それを悟られないように頷くと、遼さんが顔を覗き込んだ。
「今、エッチなこと考えた?」
「エ、エッチって……」
「俺は考えた」
堂々とそう言ってのけると、手を握り直して歩き出す。
ニヤニヤしてちろっと意地悪な視線を送るってことは、私の答えを待ってる?
もう気づいてるはずなのに、私の口から言わせたいなんて……。
遼さんのSっ気が、また顔を出したみたい。
「考え……た」
別に処女ぶる訳じゃないけれど、一応私も女だし……。
顔を赤らめソッポを向くと、強引に私を抱き寄せた。
「最初からそう言えばいいのに。イブが楽しみだね」
甘く囁くその声は、私の耳を翻弄する。
そっと耳を押さえはにかんで見せると、もう一度耳元で「楽しみだ」と呟き、私の心を奪っていった。
私の気持ちを時々弄びながらの買い物を済ませ、店を出た。
遼さんが腕時計を見て、時間の確認をした。
そろそろ店に戻る時間も近づいてきて、メインストリートを駅まで向かって歩き始める。
一つ目の交差点で横断歩道を渡ろうとしたら、いきなり猛スピードで走ってきた高級車が目の前で急停車した。
「危ないっ!!」
遼さんが私の身体を庇うように抱き、その場が一瞬騒然となる。