ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
秘密と孤独 遼side
梓とのデートは、思った以上に楽しかった。
クリスマスが近づいていて街中が浮かれ気分だからか、自然と俺の気持ちも軽くなる。
「夜の街もキレイなんだろうなぁ」
梓が小さな声で呟いた。
昼間でもこんなに綺麗なんだ。夜はもっと煌びやかだろう。
でも、店の開店時間までには帰らないといけない。
俺だって、もっと梓が喜ぶ顔を見たいけれど……。
「ごめん。今日は夜までいられないから……」
でもいつか一緒に見に来よう───
そう、心の中で約束をした。
でも俺の気持ちに気づいた梓が、「遼さんと一緒なら、昼でも夜でも嬉しいし幸せ……」なんて、顔を真っ赤に染めて言うもんだから、ちょっとからかいたくなってしまった。
「俺も梓と一緒なら、いつでも嬉しいし幸せだよ」
俯いた梓の顔に近づいて、頬にキスをした。
照れた梓があたふたしている姿は、可愛くて愛おしい。
でも、ちょっとはしゃぎ過ぎたか。
「ここ、路上だよっ!!」とまわりをキョロキョロ見て、ムスッとした顔をした。
コロコロと変わる表情を見ているのは、この上ない幸せだ。
「梓、どうかした?」
どうかした? なんて聞くまでもないことを聞くと、今度は呆れたように肩をすぼめ困ったような顔をする。
本当に、梓と一緒にいると飽きないよ。