ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「遼さん?」と俺の名前を呼ぶ声が甘い。
「うん? 何?」
「その、いつか、ウ……」
「ウ?」
「ウエディングドレス、着させてくれる?」
うぅ……やったっ!!
柄にもなく、身体が震えたぞっ。
これって、もう結婚しようみたいなもんだよな?
あまりの嬉しさに、梓の綺麗な項にキスをした。
「喜んで」
最大限に甘く囁くと、梓が俺の手をギュっと握った。
12時になったのだろう。時計台の鐘の音を聞くと、梓の身体を離す。
俺の方を向かせると、まだ顔は赤いままだった。
このまま梓を抱いてしまいたい衝動にかられながらもそれをグッと押さえ、彼女の手を取ると甲にキスをする。
どうした、俺? お前はそんなことするキャラじゃないだろうっ。
自分のした行動に、思わず赤面してしまう。
梓の「どこかの国の王子様?」という言葉に、顔は増々赤くなるばかりだ。
「ちょっとキザだったかな。でも頬を赤く染めた梓を見ていたら、やらずにはいられなかった」
そうなんだ。俺はもう、梓が好きで好きでたまらないんだ。いつでもどこでも触れていたい。一時だって離れていたくない。
その気持ちが、俺に今みたいなことをさせてしまう。
梓の顔をジッと見つめ、目だけでその気持ちを伝える。
って、エスパーじゃあるまいし、ちゃんと言わないと伝わるはずないよな。
でも梓は掴んでいる手を離すと、今度はその手を俺の腕に絡めた。そして身体を寄せると甘い匂いを漂わせながら、ゆっくりと言葉を紡いだ。
「お試しの恋愛期間が終わっても、ずっと遼さんのそばにいたい。私を遼さんの本当の彼女にして下さい」