ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
ナイン・トラップ
両手いっぱいの愛を……
†*†*† 梓side †*†*†
遼さんが幸せそうに笑ってる……良かった。
ここに来た時は、いきなり百合さんに部屋へと連れて行かれ大焦りしたけれど、何となく話も上手くまとまって、終わり良ければ全て良し!
遼さんと一緒に帰れそうだ。
しかし、私の考えは甘かった。
遼さんが「少し持って帰りたいものがあるから待ってて」そう言うから、仕方なく帰る準備をしてリビングにいたら、お母さんと百合さんに捕まってしまった。
「遼とはどこで知り合ったの?」
と、お母さんが聞けば、
「お付き合いしてどのくらいたつの?」
と、百合さんが聞いてくる。
あまりに真剣な顔で聞いてくるもんだから、冗談で答えることが出来ない。
知り合ったのはお店でとすんなり言えたが、お付き合いに関してはさすがに“おためし”で付き合って一ヶ月弱ですとは言えず、適当にお茶を濁した。
難得いかないのか、百合さんが顔を覗き込む。
「へぇ~。一ヶ月で遼くんを虜にしちゃうなんて、梓さんは魔性の女なのかしらぁ~」
ジトッと疑いの目を向けられて怯んでいると、後ろから肩を抱く温かい手が……。
「母さんも百合さんも、それぐらいで勘弁してやってよ。梓、困ってるだろ」
遼さんが私を庇うように、隣に立った。