ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「遼さん? 手、触ったらダメだった?」
「いやっ、そうじゃなくて……」
そう言って振り向いた顔はさっきよりも赤くて、可笑しくなってしまった。
もしかして遼さん……
「エッチなこと、考えちゃったとか?」
「考えてない、考えてないっ!!」
その慌てっぷり。そうですって言ってるみたいなもんだ。
でも何だか、嫌な気分じゃないと言うか、私もこのまま一緒に夜を過ごしたいというか……。
ひとつになりたい───
って、ダメダメっ!!
何ヤラしいこと考えちゃってるんだろう、私ったら……。
顔が熱を持ったのに気づき窓の方を向くと、街なかの見慣れた建物が見えてきた。
「ねぇ梓、ちょっと聞いてもいい?」
「う、うん。何?」
「どうして今日、俺があそこにいることを知った?」
「えっだって、雅哉くんが遼兄は実家に帰ったって……」
「それで?」
「もう店には戻ってこないって……怖い顔して迫られて、本当に遼さんのこと好きなのかって聞かれて……」
「うんうん、で?」
「で、好きってだけじゃ終われないくらい……好きって言ったら、ここの住所が書いてあるメモ紙を渡された」
そこまで言うと、遼さんの目が妖しくキラリと光を放った。
ちょっと、喋りすぎた?
その目に恐怖を感じ遼さんから少し距離を取ると、遼さんがハンドルを切り、目の前のコンビニに車を停めた。