ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
でも逆効果だったみたい。
遼さんの優しさは涙は止めるどころか絶え間なく溢れさせ、恥ずかしくなってしまうほど泣き続けさせた。
しかし、それを止めてくれたのは……
「グゥ~キュルキュルキュルキュル~」
雅哉くんのお腹から聞こえてきた、へんてこな音。
「や……っぱり雅哉……くんは、役に立つ……」
プッと吹いてから泣き笑いの声でそう言うと、雅哉くんが顔を真っ赤にして叫んだ。
「もうっ、腹減ったっ!! 梓さんもいつまでも泣いてないで、早く飯食おうよっ!」
そう言うと、照れ隠しなのか一人でいただきますをして、スープをガブガブと飲みだす。
残りの三人で顔を見合わせクスクス笑うと椅子に座り直し、その後しばらく楽しい会話をしながら美味しい食事とカクテルを堪能した。
普段よりゆっくりランチを楽しむと、片付けは私と麻衣ちゃんですると申し出て、遼さんたちは店の準備に取り掛かってもらった。
最初こそ緊張していてぎこちなかった私と麻衣ちゃんも、今ではこうやって隣同士、仲良く洗い物をして遼さんと雅哉くんの話しに花を咲かせていた。
楽しく有意義な時間は、あっという間に終わってしまう。
でもだからこそ、今度こういう時間が持てることが待ち遠しく楽しみになる。
遼さん、素敵な時間をありがとう───
後ろを振り向けば、遼さんもこっちを見ている。
今この瞬間、心までもが通じ合っていることに、嬉しくてまた泣きそうだ。
でもそれを我慢しこれでもかというくらいの笑顔を見せると、最大級の微笑みが送り返され、私はその笑顔を心のアルバムにしまい込んだ。