ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
そこには3石のダイヤモンドをあしらった指輪が、ホワイトライトの輝きを放っていた。両サイドの2石のピンクダイヤモンドが、可愛らしさをプラスしている。
「これってもしかして……」
「そっ、エンゲージリング。まだちゃんとプロポーズしてなかったからね。今日それを渡して言おうって、決めてたんだ」
そう言って照れたように笑う顔に、心を撃ち抜かれてしまった。
心臓がキュンとし過ぎて、息が苦しい。
遼さんとクリスマスを過ごせただけでも嬉しくて幸せだったのに、こんなにも素敵でビックリなサプライズを用意していてくれてたなんて……。
いろんな気持ちが胸いっぱいで感極まってしまい、言葉が出ない。
身体が震え目が潤み、目の前にいる遼さんの顔が霞んでくると、ふわっと身体を抱きしめられた。
「喜んでもらえた?」
喜んだどころでは収まり切らない気持ちを、大きく何度も頷いて知らせる。
涙が溜まりきった顔で遼さんを見ると、その涙を唇で掬い取られてしまった。
「泣き虫」
そしてジュエリーケースからエンゲージリングを取り出すと、熱い眼差しを私に向けゆっくりと口を開いた。
「春原梓さん。貴方の一生を僕に下さい。絶対に後悔させない。必ず幸せにする」
その力強い言葉と共に、左手の薬指にゆっくりと指輪をはめていく。
震える身体でその光景を眺め、しっかりと目に焼き付ける。
私だって女に生まれたからには、憧れていたシーン。
でも四年前にあの別れを経験してからは、もう諦めていたシーンでもあった。
それが現実に、今目の前で行われている。
どうしようもない感動に身体が埋め尽くされると、指輪をはめ終えた遼さんが、その薬指に優しく甘いキスを落とす。
そしてその唇はもちろん私の唇にも熱いキスを落とし、そのまま二人縺れるようにソファーに倒れこみ身体を重ねた。