ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
「梓が来るのあんまりにも遅いから、マスターに話、付き合ってもらっちゃったよ」
「ほんとっ、ごめん。マスターも、ごめんね」
ペコリと頭を下げると、肩に手を置かれた。
「全然構わないよ。面白い話も聞かせてもらったし」
「面白い話?」
私にそんな話、あったっけ?
「梓ちゃんに、どうして彼氏がいないのか? ってね」
そんな、爽やかに微笑まれてもねぇ……。
……って、もしかして……。
「枝里っ!! あの話したのっ!?」
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私、春原梓には4年前、大学の卒業を目前にするまで、4年間付き合った彼氏がいた。初恋ではなかったけれど、初めて心から愛することができた人で、彼にも愛されている自信があった。
私の“初めて”を捧げたのも彼。愛したくて、愛されたくて、彼を求めて何回も身体を重ねた。
きっと私は彼と一生を共にするんだと……。
別れるなんて、これっぽっちも思っていなかったのに……。
『別れて』
『はぁっ!?』
『他に好きな奴ができたからさ。じゃっ!』
『えっ? えっ!? ええぇーーーっ!!!』
何? 何が起きたっていうの?
いきなりなんの前触れも無く、「別れて」って……。
あいつ、頭どうかしちゃったんじゃないの?
だって昨日の夜、私たち愛しあったじゃないっ!
あんなに激しくお互いを求め合い、燃えたじゃないっ!
なのに、翌日の昼に「別れて」って何事よっ!
じゃあ昨晩のエッチは何だったって言うのよぉーっ!!
私の4年間、返せーーーっ!!!
その後、彼はその年の学園クイーンに告白され、即OKを出したことを噂で知った。
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