ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~

コーヒーを飲んでる姿見てると、店にいる時と変わらず爽やかさいっぱいなんだ
けど、背中に後ろに纏ってるオーラ? が若干黒いような気がするのは私だけ?

でもまぁ、遼さんの意外な一面を知ったと思って良しとするか。
デートじゃないとはいえ、折角の遼さんとのお出かけ……。
って、べ、別にデートしたかったわけじゃないからっ!!
顔の火照りを感じ、バレないよう慌ててカフェ・ラテに口をつけた。
エスプレッソにスチームミルクの口当たりが、私の心を穏やかに変えてていく。

「美味しい……」

苦味の中に感じられる甘さが、頬の痛みも顔の火照りも消し去ってくれる。
もう一口飲んでからカップをソーサーに戻すと、確かな視線を感じた。ゆっくり
顔を上げると、遼さんの艶っぽい目と視線がぶつかった。
ドクンと心臓が高鳴る。
その目に甘い色が含まれているのを感じ、私は目を逸らした。

「どうかした?」

「ど、どうもしてないっ」

分かってやってて、わざと聞いてるんだ。
それを分かってて、ムキになる私も私だけど……。
唇を尖らせている私を見て、遼さんが可笑しそうに笑う。

「梓と一緒にいると、面白い」

「面白いって……。それって、あんまり嬉しくない」

「そう? でも、そう言う気持ちもないと、恋って長続きしないと思うけど」

「それはお互いがそう思わないと……」

遼さんはコーヒーを飲み干すと、「そっか」と独り言のようにつぶやき席を立
つ。そして私の横まで来て腰を屈めると、顔を近づけた。

「じゃあ今日は、梓も楽しませてあげる。そろそろ出ようか」

私がカフェ・ラテを飲み終えるのを待つと、当たり前のように手を取られる。驚
き横を振り向けば、あまりの顔の近さに、もう一度驚くこととなってしまった。
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