ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
何かそんなにハッキリと断言されちゃうと、ちょっと照れくさくて、ちょっと嬉
しい。でも遼さんは、どういうつもりで言ってるんだろう……。
久しぶりの恋の感覚に、私、勘違いしちゃいそうだよ。
熱くなった顔を隠すように両手で押え、窓の外に視線を移す。
何なんだろう、この気持ちは……。
車の中という狭い空間が、余計に私の鼓動を速めてしまっている。
「ちょっとは俺の気持ち、伝わったみたいだね」
「えっ?」
その言葉の真意が分からず、遼さんに視線を戻す。
すると遼さんの右腕が近くまで伸びてきていて、私の右胸に触れた。
「だってここ、ドキドキしてるんでしょ?」
「…………っ!!」
何なの、このスチュエーション!!
平然と胸触られちゃってる場合じゃないでしょっ!!
恥ずかしさと怒りとで、身体がプルプルと震え出す。
キツイ目で遼さんを睨みつけても、我関せずといった態度で、今にも笑い出しそ
うだ。
「りょ、遼さんっ!! 手、どこ触ってるのっ!!」
「ご、ごめん、ごめん。まだ早かったかな?」
「そういうことじゃないでしょっ!!」
まるで茹でたてのタコのように顔を真っ赤に染め、遼さんの掌を引っ叩く。
悪怯れる素振りも見せず、叩かれた手を振って戯けた顔をすると、やっと車のエ
ンジンをかけた。