ハニー・トラップ ～甘い恋をもう一度～

繋いでる手を指を、スルスルと弄ぶ遼さん。その手を見て、ふと思う。
最初こそ、『何で手なんか繋がなくちゃいけないのよっ』と思っていた気持ちも今では嬉しいさに変わりつつあった。
一緒に過ごす時間が多くなると、いくらおためしとは言え、恋人同士みたいな気持ちが芽生えてきてしまうものなのね。
胸の高鳴りを感じずにはいられない。でもそれを、どう説明していいのか……。
おためしだからと、一ヶ月だからと言い聞かせているのに、“本気”になりそうな複雑な心。
恋愛の楽しさ、そして甘さ。それを徐々に思い出してきたら、私はあなたに恋をしてしまいそうで怖い……。

“おためしの恋愛なんだから、本気になっちゃダメ”

心の中で何度もつぶやく。こんなつぶやきがいつまで持つか……。
そして、そのつぶやきの効果が切れてしまった時、私の気持ちはどうしたらいいんだろう……。

繋がれている手は確かな温もりを与えてくれているのに、不安な気持ちが募っていってしまう。