ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
気持ちを全部見透かされているような感覚に恥ずかしくなり、俯いたまま立ち上がる。
「じゃあ修さん、今日はこの辺で。来月もよろしくお願いします」
「了解。梓ちゃん、遼のことで何かあったら、いつでも俺のとこにきてよ。俺、今日から梓ちゃんの味方になるからさ」
「は、はい。頼りにしてます」
「頼りにしてるって……。見方になってくれるのはいいですけど、俺と梓に何かあることは無いから。ご心配なく」
そんな会話をしながら外に出ると、部屋との温度差に身体が震えた。
遼さんが身を寄せ、私の肩を抱く。
「遼さん……」
「寒いからな。これで少しは暖かいだろ?」
今までで一番近くに遼さんを感じ、違った意味で身体が熱くなっていく。
「遼、お前なぁ。独りモンの俺の前で見せつけるなよ」
さっさと行けとばかりに手で追いやられると、照れながら車に乗り込む。
エンジンをかけ運転席の窓を開けると、挨拶を交わした。
「遼、頑張れよっ。“アレ”使う日が早く来るといいな」
「先輩……。もう昔の俺とは違うから、焦らずいきますよ」
「遼さん、アレって?」
「何でもないっ」
動揺する遼さんとは逆に、修さんはケラケラ笑ってるし……、
変な先輩と後輩だ。
最後にきちんと挨拶を終えまた来ることを伝えると、修さんの事務所を後にした。