ハニー・トラップ ~甘い恋をもう一度~
ファイブ・トラップ
蘇る不安 梓side
12月の打ち合わせとカクテルグラスの引き取りに行った日以来、自分の気持ちを制御できなくなっていた。
遼さんへの想いに気づくと、溢れる気持ちを止められなくなってしまうなんて……。こんな自分、初めて知った。
どうにもならなくなってしまった私は、枝里に『会いたい』とメールを送った。
いつもなら遼さんの店で話しをするのだけれど、さすがに今日はそういう訳にはいかない。そのことを枝里に伝えると、すぐに返事が返ってくる。
『訳ありね』
さすがは枝里。何でもお見通しと言うわけだ。
仕事を終えると、まず遼さんに連絡を入れる。
もう店は開店してる時間だが、まだお客さんも少ないだろうと電話をかけた。
「もしもし、遼さん?」
『そうだけど、どうした?』
「今日、久しぶりに残業になっちゃって」
嘘をついたことに、罪悪感。
『じゃあ今日は来れない?』
「うん……」
少し残念そうな遼さんの声に、後ろ髪を引かれる。
『仕事ならしょうがないよな。明日、待ってる』
「うんっ。仕事終わったらすぐ行くっ!」
待ってるの言葉に思わず嬉しくなってしまい、子供のようにはしゃいだ声を出してしまった。
『梓、可愛いね』クスッと笑い囁く声に、
「可愛くないっ!! バカッ!!」
そう叫んで電話を切った。
またからかわれたと一人憤慨していると、手にしていた携帯がブルブルと震えだした。