精神科に入院してきました。
夕食、ハンバーグ、サラダ、フルーツ。


入院して初めて、食事を完食した。
ただ、フルーツのカットが大きくて、食べにくいというか苦しかった。
やっぱりすこし、のどに違和感があるようだ。



 夕食後、またひとりぼっちの、だけど音や小窓から見張られているお部屋で、ぼんやりした。



 自業自得因果応報ながら、孤独に耐えかねて涙がこぼれた。

栄養士がやってきて、食事についてどうですかと意見を求められた。
 何を話したか覚えていない。



そして、私はまた部屋を出た。
 部屋の消灯は9時半。
ホールだけ、10時まで電気がついている、とナースさんが説明してくれた。
9時に睡眠薬を飲まされ、私はホールの椅子にぼんやり座っていた。



 ホールにも窓はあるけれど、すりガラスで外は見えない。



ホールに公衆電話があって、ほこりをかぶっていた。
入院患者の誰も「電話をかける許可」が出ていないんだな、と思った。


 その横に、ようやくいいものを見つけた。
意見箱、意見箱用の紙、そして鉛筆。



意見なんかないけれど、紙と鉛筆がうれしかった。
 そう、ここまでの記録も、ここから書いていくものも、この時見つけた紙に書きつけたものを見ながらつづっている。




 ここにしか、書くものはない。
でも書くことは私の心を落ち着かせるのに、ちょっぴり役立った。


 さて、あと10分で10時になる。
お部屋に戻らなくては。
 どうか無事に一晩過ごせますように。
どうぞ明日こそ、髪を洗えますように、服を着替えられますように。
下着も全部、来た時のままだった。




 死にたかったのは事実。
だけど、閉じ込められるのはもっといやだ。
いろんな権利をはく奪されて、死ぬことすら、イラついて声を荒げることすら許されない。
 声を荒げたら最後、あのおばあちゃんたちみたいに拘束される。

だから。


 どうぞ一日も早く退院できますように。

その日は9月13日。





2012.11.13  12:00       
はなの
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