精神科に入院してきました。
9月16日 入院5日め

 目ざまから最悪の気分だった。
頭はガンガンするし、食事もまずくて仕方ない。
 けれど食べた量はナースにチェックされるから、頑張って完食した。
残したりしたら、「食欲不振、体調不良とみられる」なんてカルテに書かれて、退院が遠のく。
……なんて、いつ此処から出られるかすらわからないのだけれど。
いつタオルを使って顔お吹いても良いと「許可」がでるのかすらわからない。


 食事のプレートを返しに行ったは良いものの、返却口が分からず、仕方なしに通りがかったナースに聞いた。
 そのナースは「男性・高身長・無愛想」の三点セットで、ぶっきらぼうに、面倒臭そうに返却口を教えてくれた。



 いつまでこんな扱いを受けるの?
どうして?援助者と被援助者は対等、これ基本じゃないの?
なんで私が彼らに好印象を与えなければ出られないの?


 それもこれも、私が大した病気でもないくせに閉鎖病棟なんかにいるせいだ。


顔面のアレルギーが悪化してきていた。ゾンビみたいにずるずるの顔になるのも時間の問題と思われる。
 それくらい、たくさん泣いて、たくさん鼻をかんでいた。



環境になじめず泣いてばかり。気力もおきない。


 ベッドに座ってひたすら泣いた。
昼食も無理やりながしこんで、苦しくて、よっぽど自発嘔吐しようかと思ったけれど、そんなことしているのがばれたらますます「制限」が厳しくなることが分かっていたから、我慢した。


 ただじっとベッドに座っていると、また、いてもたってもいられなくなって、私は廊下に出た。端から端まで歩いて、自分の部屋のある方の廊下の一番奥で泣いていたら、急にその部屋の扉が開いた。

 昨日見かけた中年男性だった。
彼は私を見て、驚いた顔……というか、「女の子が泣いているのを見て一般的に男性が示す表情」をした。

 驚かせてしまった。私は彼に、ぺこり、頭だけ下げてまた廊下を歩き、ナースステーションの前に座り込んで、





今度こそ号泣した。

もうなにも我慢できない。


おおきな声も、あふれる涙も、立っていることすらできない。



お父さん、お父さん、ここから出して、ねえ助けて。
お母さんのせいで此処にはいったの、だからお父さん、助けてよ!
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