精神科に入院してきました。
不便である。
仕方なしに手でぬぐって、またベッドに戻った。




そして私は、自分が裸足であることに気付いた。
クリニックで靴を脱いだらしい、全く記憶にないが、とりあえず裸足だ。


困っていると、主治医になったという医師(Mドクターとしておく)、栄養士、薬剤師なんかが次々に部屋に来て、それぞれ話していった。


医師と何を話したのかはもう覚えていない。

栄養士は、普段の体重とか、アレルギーとか、そんな事を聞いていった。
間食の習慣の有無なんかも聞かれたかな。
 話しやすい雰囲気のおじさんだったので、
「あの……私の靴を知りませんか?」
と聞くと、
「あれ?ないの?ちょっと待って」
と、部屋から出て行き、
「お風呂場のスリッパでごめんね」
と、ひとまず病院のスリッパを貸してくれた。


薬剤師は、その日の晩から飲むことになった薬について説明していった、気がする。

サインバルタ二錠
セロクエル 一錠
ワイパックス 一錠


その日の夜に飲んだ。
サインバルタは以前から飲んでいたけれど、残りの二つは初めて。
でも、何の薬か調べる手段もなく、私は横になった。



消灯前だったけど、そう、疲れていて眠ってしまった。



Iさんが気になった。
……多分捨てられるだろうと思った。
常々、彼は言っていた。
「もしも自殺なんかしたら、ぼくは君と逢えないことが辛いから」
「名古屋かどっかの工場に転職して住み込みで働いて、仕事以外のことを忘れる」



「だから自殺なんかしたらだめだよ」
「入院しても会えるなんて気軽に考えないで」

それらの言葉は、私の自殺願望や厭世感をストップさせるための彼の優しさだって、知ってた。


だからこそ、怖かった。
捨てられることより、もっと怖かった。
……もしかして彼が責任を感じて自殺したりしないか、怖かった。


私はわたしなんかいらない。
だけどIさんは必要。



ぐちゃぐちゃ。
這い依る混沌、意味不明。



まだ私が自殺しかけたことは伝わってないはず。
だからまだ、Iさんは大丈夫。


携帯もない、親もいない、私物もない。
だから誰にも連絡はとれない。




ああ、疲れた……
もう,厭だ。





寝ていたら、ナースさんに起こされて、睡眠薬を飲まされた。


その日は9月12日。
入院一日目。

2012.11.8. 19:26
はなの

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