雨降って、血固まる。
一瞬目を見開き、声を失った綾木だったが、次の瞬間に声を発した。



「はぁ?」



今自分の額に突きつけられているものをモデルガンだと判断したわけではなく、ただ虚勢をはっているだけだと私にはわかった。



それまでのだらしのない表情からは一変し、顔面蒼白になりながらも決して引こうとしない根性に、私は少しだけ関心した。



「どういう事だ。お前…誰だ」



綾木の目は徐々に冷静になっていく。



もったいない。



何故かそんな風に思った。



「自分で考えろ」



引き金を引いても銃声はしなかった。



そのように加工された銃を、ギンから渡されていたから。
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