雨降って、血固まる。
気がつくと、私の目の前にはグラスが置かれていた。



ウォッカ。



この部屋に唯一置いてある酒だ。



ギンは自分のグラスを持って私の隣に座った。



何も言わずにただグラスに入ったウォッカを飲むギンを見て、涙が出た。



何に対して泣いているのかはわからない。



嗚咽も出ないし、声を上げるわけでもない。



それなのに、不思議なくらいに次々と涙が溢れてくる。



自分の涙がブレンドされたウォッカを少し舐めた。



私はこの味を一生忘れない。
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