雨降って、血固まる。
「君と話が出来てよかった。ありがとう」



秋元は無表情ではなく、少しだけ色が浮かんだ顔を向けて言った。



「これ」



そう言って秋元が差し出したのは、小さめの紙袋。



中には帯のついた札束が10本。



「足りるか?」


「あぁ」


「ならよかった」



私は、コートのポケットから秋元を殺すために持ってきた道具を取り出した。



音の鳴らない銃。
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