雨降って、血固まる。
非道だな。



日下部も、警察組織そのものも。



非道な私ですらそう思ってしまう。



日下部を絶望の淵に立たせるには、どうすればいいだろうか。



「奇跡の人」



私は呟いた。



その声を聞いてか、ギンがパソコンの画面を覗き込んだ。



紫桜からのメールを黙々と読んでいる。



それを読み終わると、私の顔を見て一度だけ頷いた。



ギンも私と同じ事を思ったらしい。
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