雨降って、血固まる。
翌日、私たちは日下部の住むアパートの前に立っていた。



古い2階建の木造アパート。



日下部は出所してから、ずっとこのアパートに1人で暮らしているらしい。



2階の一番奥の部屋の呼び鈴を鳴らす。



やけにかすれた音。



すぐに中から何やら物音がし、ドアが少し開いた。



その瞬間、ギンがドアの隙間に足を入れる。



ギンのその行動に驚いた中の人物は必死でドアを閉めようとするが、ギンはそれを遥かに上回る力でドアを引いた。



ギンは、だいぶ広がった隙間に体をねじ込ませた。



私の目の前で一度完全にドアが閉まる。



私はそれをまた開け、中に入った。
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