雨降って、血固まる。
中ではギンと男が睨み合っていた。



少し老けているが、男の猛禽類のような鋭く濁った目は、紫桜から送られてきた新聞記事に載っていた日下部太一のものだった。



「一体なんなんだ。お前たち誰なんだ!!」



日下部は引きつった顔で喚き散らした。



ギンのこの目を見て平然としていられる人間などいない。



底知れぬ恐怖を感じるか、骨の髄まで魅了されるか…



日下部の場合は前者だったらしい。



「誰デモナイ」


「何を言っているんだ…」


「ウルサイ」



ギンは日下部に銃口を向けた。



しかし、撃つ事は絶対にない。



今回コレを持ってきたのは動きを封じる為で、殺す為ではない。
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