雨降って、血固まる。
私は、部屋にあった電話の受話器を取り、119番に掛けた。



相手が出ると、ここの住所のみを告げ、電話を切った。



ここでこのまま放っておいて死なれては意味がないから。



「アオ、行クゾ」



ギンの言葉に私は頷いた。



ここまで残酷な事をしても、何も感じない。



これが残酷な事だと理解していながらも、それでも何も感じない。



誰に何と言われようが、ギンの近くにいられるのならそれでいい。



どんな刃が向かってこようが、その時は喜んで盾になろう。



この鴉が何者なのか、私はまだ知らない。



きっとこれからも知らないままなのだろう。



でも、それでいい。



それが正しいのだから。
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