traitor


干槙 宇深(10)


此処にも実の親から暴行を受けている子がいた。



「お母さん....ごめんなさい、ごめんなさい
 ごめんなさい、ごめんなさい、あたしが悪いの、
 ごめんなさい、ごめんなさい....」


「煩いっ」


パシッ


左の頬に痛みが走った。


目は涙でよく見えないが
多分お母さんであろう。


「う、ぐすっ」

また涙が溢れる


「なに?また泣くの?
 泣けばイイってもんじゃないでしょ?!
 お前、目障りなんだよ。
 お前なんか、お前なんか、







 引き取るんじゃなかった.....」


「.......。」


あたしが黙っていると
お母さんはカバン1つを持つと


バタンっ


家を出て行った。


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