彼に出会った1年間

「それ俺の連れなんで
放してください。」

聞き覚えのある声がして
男の手が少しゆるくなった。

「ちっ、気づくのはえーよ。」

腕から手が離れ
私は力が抜けてそのまま座り込む。

「大丈夫か?なにもされてないか?」

「うん、大丈夫。
助けてくれてありがとう。」

太陽君の顔を見たらホッとして
涙が落ちた。

海水みたいにしょっぱい
大粒の涙が。

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