君がくれたモノ
その頃から俺はこう考えるようになっていった。

自分の意思などなく、大人に言われるままに動く操り人形だと‥
それが生きていく為のコツだと。


だが‥
10歳の頃に俺の運命を変える事件が起きた。

いつものように買い出しが終わり家に帰ると、家の中が血に染まっていた。
義父と義母は部屋の真ん中に立ちすくみ、その下には若い女が赤く染まり倒れている。
俺はすぐに、その女が以前町で見かけた養父が連れていた女だと気付いた。

義母がやったのか‥?

義母の手には血まみれになったナイフが握られている。
2人はやっと俺が帰っていた事に気付いたらしく、ゆっくりと義母の口が開く。

「‥あんたがやったんだよ蒼。」

義母は手を血に染め、生気を失った目で俺に言った。
義父は震えた足で俺の方に歩いてくる。

「そ‥そうだ蒼。貴様がこの女を殺したんだ!いいな‥そうすりゃ俺達が助かる。今まで生かせてやったんだ!それくらいしても罰当たんねー‥」

俺の肩を掴み、必死にそう言った。
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