君がくれたモノ

寒い‥。

意識がもうろうとする中、莉奈は寒さで体が震えた。

「‥な‥莉奈!」

誰かが呼ぶ声に、意識が徐々に戻っていく。

「ん‥」

目を覚ました莉奈の前には見た事のない男の子がいた。
心配そうな顔で、莉奈を見つめている。

誰だろ‥?

そんな事を考えながら起き上がった莉奈は、周りの景色と知らない男の子の服装を見て絶句した‥。

「ど‥どこ?ここ‥あなた誰‥」

頭が混乱した。
ここも川の前には違いないが‥さっきまで莉奈がいた川とはあきらかに違っている。
土手の上には木造の橋に木造の家。まるで江戸時代だ。

何がどうなっているのか全く理解できずにいる莉奈に、隣にいた男の子が話しかけてきた。

「ここ、さっきまで誰もいなかったのに、急に人が倒れてて‥
莉奈‥だよね?」

男の子は莉奈より少し年上くらいに見えた。
袴のような着物を着ているが‥莉奈には馴染みがなく、違和感を覚えた。
そんな事より、彼はなぜ自分の名前を知っているのか。
普通はそう考えるところだが‥この優しい声は、蒼しか思い浮かばなかった。

「ねぇまさか‥蒼?」
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