君がくれたモノ
二人は顔を見つめ合った。

「はじめまして。莉奈」

男の子は笑顔で莉奈に言った。

莉奈の心臓が激しく音を立てている。
蒼が‥ここにいる‥
この声は間違いなく毎日話している蒼の声だ。
突然の出来事に、未だ動揺が隠せずにいた。

「嘘‥だよね?ここどこなの!?」

「嘘じゃないよ。俺は蒼。ここは淋江の町だよ。」

蒼は落ち着いた声で莉奈に言う。
【淋江】という名前には聞き覚えがあった。
以前蒼が話していた町だ。
なぜ自分が蒼の世界にいるのか‥いくら考えても分からない。
少しの間考え込んでいた莉奈は、桜の事を思い出した。


そんな事莉奈にいちいち報告しなきゃダメなの?


その言葉を思い出すだけで胸が苦しい‥。
‥もしかして、蒼が助けてくれたのかもしれない。
そんな事を思い、莉奈は蒼の方を見た。

「会いたかったよ。莉奈」

そういって蒼は莉奈を抱きしめた。

‥温かい。

なぜか安心した。
このままずっと、ここにいたい気もした。
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