君がくれたモノ
莉奈はもう1時間以上考え込んでいた。

ここはどこなのか
なぜ自分がここにいるのか

しかし考えても答えが出るはずもなく、立ち上がり隣に座っている蒼を見下ろす。

「莉奈‥?」

蒼は莉奈の行動に驚いているようだ。

もう‥いっそここにいようか‥。
どうせ帰り方もわかんないし、誰も心配なんてしないだろうし‥。
蒼は思ってた以上に男前だし!

そんな半ば投げやりな考えで、莉奈は蒼に言った。

「アタシ、ここにいる!」

蒼は急な莉奈の変わりように、少し戸惑っていた。

「だってアタシ、帰り方わかんないもん。
それに‥誰も心配してくれる人なんていないからさ」

そう言って、莉奈はまた蒼の隣に腰かけた。

「莉奈がどうやって淋江に来たのかは分からないけど‥、きっとみんな心配するさ」

「しないよ、心配なんか。アタシ、誰にも必要とされてないから」

少し蒼の言葉に少し腹が立った。


アタシの心配なんて、誰もしない。


心の中でそう呟いた。
< 20 / 65 >

この作品をシェア

pagetop