君がくれたモノ
「それでも王はいつも俺を気にかけて下さった。
でも‥今まで愛情を受けた事のない俺は、初めはそれに戸惑った。けど‥」

蒼は大切な人を思い出して話しているように優しい顔で莉奈に話してくれた。

「いつの間にか王をほんと父親のように慕い、毎日この屋敷を訪れ王に会いに来るようになったんだ」

王には子供がいなかった。だから王も一層、蒼に対する愛情が深かった。
后は王と一緒になってすぐに病を患い亡くなったのだった。

そんな楽しい日々はそう続かなかった。王と知り合い2年ほど経ったある日、王は不治の病ともいわれる疫病に侵かされたのだ。
その疫病にかかると1週間生きられる人はいないほどの病‥

「俺はどこまで苦しめられるんだ。そう思って王の隣で泣き続けた‥」

泣き疲れて眠っている蒼の隣で、王は遺言書を残す事にした。

「次の日、王は永遠の眠りについた‥」

「その遺言書には‥何て書いてあったの?」

深い傷を負った蒼の心を開く事ができた人。
きっとすごく素敵な人だったんだろうと莉奈は想像していた。

「俺を‥王の座に就かせる、と。」
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